風が窓を鳴らす
誰かが訪れた気配
人が鳴らす音
風の鳴らす音
ひとつも違わずに
見えぬものの訪れを
無邪気に思い浮かべてみれば
不意に世界が広くなる
閉じ込められていた
色彩と匂いが
戻って来る
風が窓を叩く
何も訪れていない
訪れていない証明もない
それならば
僕らはどんなふうに
現実を思うべきだろう
1日を、豊かに生きるため
優しい心を守るため
現実は幾重にも
分岐する道のように
同じ現実をして
歩く人に合わせて
形を変えてゆく
それならばどんな現実の中で
どんな世界を生きよう
素敵に微笑むために
押し寄せる
濁流のような
もっともな顔をした
不十分なものたち
自他をはじまりとする
たくさんの雑音のなかで
まぁるいものを保てるか
たとえば一人であっても
欠けないもののために、欠けずにいる
ただ、そのことのために覚めている
そんな当たり前を生きること
欠けないものは
優しくて、放埒で、
望んだ選択を土として
そこでの専心を雨として
時と一緒に実を結ぶ
自分の思いの豊かさと
誰かの思いの豊かさと
照らし合わせて合わさった
そういう世界に実を結ぶ
己のなかの色彩が
世界の色彩や匂いを変える
そうして世界はお返しに
あなたの心に色彩をのせる
大切な贈り物ものをするだろう
あなたと世界が出会うとき
清浄な栄養を貰うとき
半円が揃うように繋がって
一つの欠けないものを描く
そうして何度でも
幼い子どもと同じように
上手な笑顔を残しては
今と未来を丸くする
一つの円が描かれて
全ての道が現れる
ここと向こうと
今と未来を
繋いでく