綺麗だなと思えるときに
心も綺麗であれるのだと
伝言ゲームのように口にすれば,
それはすでにカビ臭く
歯痒くもなる
誰かの尺度でとかではなくて
実際に,綺麗なのだ
あの,石に落ちた木の影の揺らぐ様のように
それまで抱いていたどんな言葉の文脈も超えて
見る人に清々しい命を注ぎ込む
風は汚れない
影も軽やかに美しい
木の葉は至って平静で
石の情は人が及ばぬほど深い
ただ倣へ
良いものに染まれ
陽光に現れる世界の姿と
その熱のような力の欠片が
人の命の陽の力を目覚めさせ
その悪があれば静かに祓い
言葉よりも確かな善を残していく
人の善は,この多面体の一部
その本性はここに。
故郷はここに。
始まりの場所。
帰りつく場所。
時を超えた護り手。
意味も美も底を知らない
当たり前の世界。