目の禊ぎ

修理していたメガネのように
この目にもたくさんの傷がある

メガネの傷痕は,擦れてできた
大事に扱えば生まれなかったかもしれない

静かに座りながら,目に意識をやれば
眼球の側面や背面に
無数の刃がつき刺さっていた

目を大事に扱うということは
ものの場合とは少しだけ事情が違う

正しく愛せるものを
ただ喜んで,好きであれると言うこと
それが,目を大切に扱うと言うこと

貪欲に求めて
己の心身の調和のミニチュアのような
目の様子を省みもせず
調和に資する視線かどうか,
思念かどうかに気を向けず
傷を増やすばかりだ

そよ風の中でそっと
目の後ろ側の血走った部分に触れる
不思議とわかる,思い一つで,その色が変わることも

正しい思いでいたい
そう許されるなら

極度の疲労や,困憊は,
統一された理性を鈍らせて
大事な中心を遠ざける

だから,力が枯れることを
古来ケガレといったのだろう

正しい力は
あるべき場所に実る

正しい食を守り
十分に眠り
適度に動き
身体に快活を巡らせ
十分に誰かの良さを見つめて
それを愛でるように
素直に好きであること

そういう後に力は宿り
汚れが遠のき、思いは実る

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