白いサギ

サギが一羽
まるでオキモノのようだ
あまりに過ぎた時間に
本当に置物だったのかなと
馬鹿なことを考え始めたとき
サギは僅かに頭をかしいだ
それにしたってなんでまた
滝の真ん前にいるんだろう
あいつの時間の流れは迅速ではないが、
幸せで濃密にみえる。

ふとサギが振り返り
はるか後方の月の方を見た
そしてまた少し視線をおとす
そんな仕草ができることが
ただまっすぐに
決められた方へと歩く
犬と散歩をする僕らより
なんとも高尚であると思う。

ふとサギはくるっと小さく円を描くようにして
滝の中に注意深く見入っていたかと思うとついばんだ
なるほど
月光の加減で
餌が探し易いのだろうか

所有をせずに生きるものの
その仕草の美しさよ

かれが飛び去ったあとに
少しの淋しさを感じた。

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