柔らかな毒物

テレビから休みなくあふれ出す
ことば、ことば。
意味のないことば

理性を奪う
大きな音が
うちに描き続けるべき
なにものかに
耳をすますことを、害す
耳をすませなければ
あるべきものを知れず
知られないものは
輪郭を薄くしていく

テレビの鳴り響く食卓が
どうにも世間をアホにしている
柔らかな毒物に思えて

皆が欲しがるから
とりのぞけないけれど
要らないなと思う

幻には逆立ちしても
幻の厚みしかない

未来を指し示すはずの
静寂のおおくが散らされ
ついに音だらけの
雑な今しか残らなくなる

耳をすませ、現実に
そして、内のしじまに
それは結局同じこと

放っておけば、
うちへ、密度の高まる方へ
整い続けるチカラがある
治癒の機能が自然にある
それを邪魔して、し続けて
ついに失っていく

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