時を覗く
時計を通って
ゴツゴツしている
思いに描かれたときには
もう、和を乱している
目前に備わる
すべての幸を含むもの
本来の時の姿
数の狭さに身を刻まれず
海のようにたゆたい
息をしている
時計は数えるのが下手だ
明確な数字が
時の輪郭を壊す
たとえば線香が静かに燃えて
だんだん短くなるときは
ずっと上手に、
時を傷つけずにつかむ
どれくらい時間が経ったのかを知らぬまま
ただ、日の光の下で、緑と風の競演に聞き惚れている時
時の姿の全てが見える
とても優しく、
人よりもずっと強く、
アリと象を比べた程に大きく
それでいて、健康で善なる心には聡い
いわば日光が布団を滅菌するように
この光も風も、心の闇を静かに払い去る
時もまた、この風とともに流れている
時計の時は、心の死んだ時
まるで彫刻か標本のように
冷たく形を変えずに止まっている
この庭の時は、生きている
心の先が、内側から
出たり入ったりしながら
やりとりをする
すでに、一部
皮膚のように
自然も時も、
己に繋がる