賢人は言う
完璧は美しいが 同時に 間抜けである
それを知り そして壊さねばならぬ と
必然は それだけでは 単調すぎて
幾何学的な必然を追い求めた音楽や絵画も、
若いエネルギーが発する、日々の会話ほど深くならない。
偶然は 淀み霞んだ意思に
常に新しい命を吹き込む
たとえば森の空気のように、決して淀まぬ新鮮さ。
我々が自然に抱く憧憬は
曖昧模糊なものでなく
そう言うある満ちたものを見つけるからだ
桜も、川面も、空行く雲も
柳の枝を揺らす様子も
昆虫がいま草むらから飛び立ったのも
そこには常に良識とよい空想が描かれている
安全 安心 確実さ 確かさを与えるもの
その必然も偶然も混じり合う中に、
帰って見える欠かけないもの
なんでもない草花に、木々の色の変化に
今日の空気の味の中に
素敵な何かを見つける眼差しが
恐れずに歩ける世界の建設を助ける