幻影

事物の中に
自己の幻影を見、
かけらを見つけ、
ついには己に加えて、
厚みを増す
ただの会話の面白さ
ただの風景の面白さ
それはこういうことなのだ

 子らの探しものは
 言葉の答えよりも
 対話者の精髄、
 内の置かれた場所。

 同じ場所を見てやれ
 見られた場所を
 向こうで用意すれば
 同じとき厚みを増す

風景のなかで
たゆたい動くものは
草木ではなく己

揺蕩うものは、
暫時も色彩を失わず
常に新しく
昔につながりながら
凄烈な今を流れている
ほら。また厚みが増した。

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