甘露

腹が味わい
心をなるように
内腑もまた心をつくる
だからこそ食と運動には
書籍に乗らぬ、深い意味がある
甘露は体の中にある

それはまだ知らない言葉を形にするもの
いまだ曖昧な、けれども全貌。
たとえ掴んだものが影であっても
真実でないものを弾きだし
適切なものを知らせる力

いわば形のついた穴に、
物を通してゆく遊具のように
ある問いに対する答えを
直接に考えさせる
その全体を知らずとも
ふるいとなる
 
優しい味は
気持ちを和やかにさせる 
料亭の目指す様な
次の日にの朝に起きて
昨日は美味しかったと思える味なら
腹にも血脈のなかにも、
心をやって嘘がなく
気持ちのを前にし、チリを払う

行為や意思における
正しいことや優しさも
体の微細なところを変える
そうして深くに沈潜し
あるいは常にからだをめぐる

こころはそうして
外界の事象にしたがって
明滅を続ける記憶よりも
確かにその身を染める

 
正しい生活とともに
腹や細胞によって知られる味は
血脈のなかに、悟られるものは
さらに一段深いところで
魂の性向をつくる
ついに可能性の扉を開く

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