哲学の由来

土や緑に現れた清浄な空気は
心に透明さを留めてくれる

町屋の漆喰の壁や、庭の木々の間を縫って
清浄になって届いた風は、
おのずから穏やかな呼吸を招き
反転して、落ち着いた心を招く

次の日にも美味しい様な
腹と体全体で感じられる美味しい味もまた
誰かをほっとさせ優しくさせる。

美味しい出汁は心を守る。
命の気配を未だ損なわない、
素材時代の力も同じ作用をする。

美味しい風も、
美味しい味も
歴戦練磨の哲学者よりも
遥かにその知に長けている
本当に美味しいものは、舌にも鼻にも体にも美味しいものだ
そして体で美味しいものは、知が宿る大きな縁になる

昔の哲学者たちにも、教えてあげたかったものだ。
言葉は言葉の因でも、保証でもなかった。
むしろ、ただの対応関係である。
そうではなく、言葉の生じるその根幹をよく保つこと。
それが哲学の目的であったならば、
ときに言葉を離れて、
食事や、運動や、何気ない人の掛け合いについて
語られるべきなのだ

言葉は最後に結実する
正しい方法の祈りが届くように
心身にとってあるべき生活ののちに
知性と言葉は、あるべき照応の水面を自ずから悟り 
隙間のない、幻想でもない、
実在といいうるほどの濃さになる

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