体と心 〜足指について〜

泣いたり笑ったりすると
それに解されるように、
神経や筋肉に清々しさが通り
内臓もまた息をすうように整う

足の指の1つ1つが動くときも
表情の動くときとおなじように
それが神経か血管か、まだ知らぬ何かで
足の指から連なった内臓を含んだ全体を
解して柔らかくさせる

試しに地面を足で握り込むといい
必ずももの上、腹の中
あるいはもっと上まで繋がっている

誰かと交わした表情が
体ごと和らげることがあるように
体が和らげば、反対に表情に豊かさが流れ出すように

足の指が動かせないことの不健康さが
僕らの顔と心まで縛っていることを
幾人が気付いているだろうか

表情みたいには分かりづらいけれど
足の指や裏からも、
動きながら、体を揺さぶるようにして
表情のように、心身を整えている役割がある

草履も草鞋も指を自由に開放していた
それは偶然だったのか、それとも職人の知恵だったのか
技術の制限によって形を決められた部分もあったろうが
進んでにそうでありつづけた一面もあったのだ

出来うれば、足の指や、裏の感覚を
なるべく自由に出来るはきものを選ぶといい

高い技術で足を覆うことは
どれだけ技術を高くしたところで
全体を覆っている一点のために
程度の差はあれ、必ず足指の動きを抑止するために
もうすでに、精神と道具との連関に
好悪のつながりがあることに対して蒙昧で
本当の先端文化に対して、方向を違えている

履き物に対して
ただの地面との関係におさまりきらない、
ひとの全体性への関与を
指や足裏の動作にも、
心身にとっての作用が少なからずあることを
正しく知った上で、
文化が選ばれてもいいはずだ。

今はただ
大方の人は目を瞑り
なんとなく気がついた人が
一風変わった趣味として
草履を履くのみ

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