秋の入り口
暮れ始める頃
夏の最後の陽気が作り出す、
植物たちの濃い香りに包まれる
一瞬の偶然
美味しい空気の味のなかに
子供の昔から知っている
1番健康な情が、遊ぶように動く場所。
言葉で表そうと向きあった瞬間に
味の大方が、僕の中で居場所を失くす
だから言葉は選ばない
丸ごと味わえば、言葉も溢れる
それは選んだ言葉ではなく
全体の上にシールのように書かれていて
いはば雑踏をゆく人々の
それぞれの話す言葉で
けれども目の前にあるのは
そんな全部が豊かに調和した
まきれもない、一つの印象なんだ
少し弱くなった日差しが
今日の終わりに運んでくる昼の知恵
植物の呼吸が、
古い思い出をよびさます
何億年も正しかった記憶が
体の中で響いている