鴨川

木々の情緒
冬枯れの木でさえも
それを心に写し取るとき
ぼくを前より少しだけ優しくする

川の上空に、隊列を乱すようにして鳥が舞う
川向こうから太鼓の音がする
冷たい風が川面に踊り
この曇天すらも
僕の精神を健やかに変える

人の心は自然と対峙する中で
あるべき美しい形を
見いだせる

心のありかを知っていますか
出来上がったものではなくて
生まれてくる因果を知っていますか

なんでもない石の手触りでさえも
心をひとつ深くする

世界の質感が、いつも近くにあるといい
大切なものの、いつでも側にあるために

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