立砂

立砂信仰と呼ばれるものがある
神山を模してつくったものとされる

その形状はけっして平べったくなく
あくまで冷たいくらいにさっぱりと
けれども自然物の表面には穏やかで温かな
そういう表情が見せられる

華美ではなく、虚飾や虚栄など、思いに邪を加えるものや
注意深く取り除かれている

悪いものはその芽から削がれて
ただ、現前するのはさっぱりとした
風呂上りのような
森林浴の最中のような
明るくすっきりとした、
凛としつつも温かな気持ちである

最小限の意匠である
ただ1を守ることは、全を見る契機となる
複雑なうるささには宿らぬ神聖が宿る
のっぺりとした1ではなく
無数の白砂が表情をつくる
たくさんの質感をひめた
そういう実在が
自ずから印象に伝える
高尚さがある

神域に託された、
静謐なもの

粒の一つ一つに
込められたもの

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