見尽くせぬ木

木の枝が曲がりくねって伸びている。
節目を作りながら、寄り道のように見える伸び方をしている。

夜のアスファルトの香りの間に、すぐそばを通り過ぎたオートバイの排ガスの匂いが混じる

特別な意味のないものたちが、こんなにも私の世界を鮮やかに染め上げている

こうやって木の枝のむやみに寄り道をしてみせる中には、嘘のない本当があるのです
心の奥に忘れられた世界を、ふたたび表へ引きずり出して、その羽を広げて遊ばせる場所

複雑に折り重ねられた印象の中には
この世界の愛しさがあるのです

それらはまた、我々の
豊かで正しい心の宿でもあるのです

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