脚下の石ころ
顔を撫でる風
流れていく鳥
五臓六腑の響き
ものは多くを語る
声や言葉を嫌い
知性のまことを
彼と私のあいだに示す
物の表面に
ものにのせた
見る人の心の造形を
ありありと映しだす
ひとの内にある
世界と同郷のなにかは緻密だ
まがい物になり得ずいつも清い
海と同じほど強く
世界と同じだけ緻密だ
形や色にはなにもなく
形や色を見つけるときに
形や色が意味を纏う
恬淡として
ちゃんと見てれば
真が己の多くを占める
そのうち善が
その身に満ちる
石庭も庭も古美術も
見るための入り口を
あえて広げたに過ぎない
世界をよく見ろ
よく見えるとき
見ているものは己の真だ
真があるなら
知性は強く、優しさは発露し
各人の天命は知らされる
その時代の必要に1番即した形になれる
真を宿すものになれ
表現されたものを見よ
誰にでも見えるそのカケラが
大衆に目の前を通り過ぎ
そのたび見過ごされること何億回か
見えていても気づかれず
気づかれないから留まり切らない
この社会に善のタネはいまだ根付かない
まことを見るのは
己のまこと
すでに清く暖かく
だれかの体温や
懐かしい香りに感じるような
幼児の英知
白眉の本体
生きた静寂を宿して
真の手のひらのなかで
呵呵と笑え