夕方の空気の甘さを
噛むようにして味わいながら
頭上で木の葉ざざわざわと鳴る
音のシャワーを浴びながら
この何もない空間の間に
純粋な理性を探していた
そこにあるのは知っている
耳を済まし目を凝らす、ただし力まず
あるものをあるがままにみている
それはまだ形を持たないけれども
人により形を成す成さないはあるけれども
どちらかと言えば読解力の問題で
読めば読むほど見れば見るほど味わえる
ここに生きるものの上には
過不足のない幸が訪れるだろう
その濃密さにおいても
その生み出すものの
ものであれ言葉であれ、
それらがまとう情感の豊かなことにおいても
僕はそれを人々の幸いを呼ぶための
「切符として使いたい」
そこに連れて行くための切符としての
言葉を生み出すために使いたい
夕暮れが迫り
木々の緑がこぞって黒に染まり始めて
ただその後ろの曇り空だけが
返って白くて明るい
そんな空を、車にもたれかかるようにしながら見上げていた
明るい世界が今日の最後に語る言葉
ふいに夜の始まりの匂いがする
控え目に優しい情調が
僕を撫でるように包み込む
もう少し話を続けていたいけれど
そろそろ夕飯に帰らなければ