オレンジ色の街灯の光を照りかえす葉が
すこし血のにじんだ
僕の心にじんわりとしみる
人をいきることがこうまで
邪魔をされるのはなぜか
帰り道、僕を包む
瞬間瞬間の空気の塊が
一つ一つの人間のタネをのようで
川の香りも
雨に滲んだ木の表札も
この石造りの橋も
木々の呼気も
全てが僕に染み渡り
その瞬間瞬間に感じたものは
1個の人格だ
1つの空気の複雑な香りの中に
立派な人が1人いる
立派な人がたくさんいて
それらを少しずつ蓄積して
僕らはやっと少しだけ立派になる
こういう人格にまみえることをなくして
青白い顔で生きているのが大人だ
こういう人格に日々育まれて
言葉よりも言葉の源に触れて
それと同じ高さになることで
賢くなるのが子供だ
言葉にならないものの価値は
まさにそのために
いつの時代にも見過ごされている
そこに生きられるのは隠遁者だけ
異端者だけ
それでもと思う
この濃密な知性のようなものを
生きたいと思う