広大無辺

空一面に広がる曇天と
さざめく湖面の間には
清浄な空間がある

ひとの頭の中にも
こんな空間がいるのだろう
日々の生活事情の塵芥を
溶かし込むことのできる
広大な余りものが

ひとが地面をたくさん使っても
地面が綺麗なのは
空が広いからだ
理性が清くあるために
いつでも空の色を見ていたい

空の広さを心にもちたい
塵芥をものともしない広さを
湖面はいま
片われどきのあわい色
雲までの空を染めるのも同じ色

どこまでも静かなのは
この空の色を映している瞳
目の自然はこころの自然
柔らかな触感が目の裏側を撫でる
不動の静寂はこの空の姿に同じ
庶務的な意識と次元を異にした
美の姿

ただ音もなく
あるべきものが心を満たす
あるべきままの情を知る
あるべきように 私になる

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