詩人の責務

少しずつに薄まってきた
言葉のなかにあったことば
今はもう、言葉は音になりかわり
なかにあったことばは
薄め続けたコーヒーのように不味くなって

だからさ?
言葉のなかにあったもの
近い世界のなかで余りあるもの
我らのこころの良いものの由来を

きちんとわかりながら
今度はあえて守ること
表に出して守ること

なんとなくあるものは
時代の忙しさにかき消されてゆく
いままた美しかったものが
薄まって辺りを漂っている

現代の詩人がなすべきことは
言葉のほんとをはっきりさせて
あの手この手でその故郷をまもること
見えぬことばを、わかられぬことばを
その実ひとびとの求めて止まぬ理想を
押し流そうとする時代に抗うこと

他愛のない笑みを無くさずに
いい表情を教えてくれる天然の
内天の美を
折々の風に研がせながら

壮烈に
カンとして生きよ

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