梢の日輪

ある朝早く
霞のかかった山のほうから
橙色に射しこんできた光を
ただ味わい尽くして遊ぶような
そういうときが
言葉などなくても
このこころに
静かでかけたところのない
かけがえのない
優しい理想を植えていく

知ってか知らずか
そんな人しれない時を

ただ喜んで楽しむときこそ
いちばん考えていることなんだと
誰にわかるだろうか

そんなわけで
真実はいつも遠く
そばにありながら
少し遠くで 僕らと生きている

多くの人にとっての
いちばん近くて遠い場所
終わり含む始まりに
僕らはなかなか帰れない

立ち止まって
耳をすませてみるがいい
聞こえていなかった音を聞くだろう

遠くの方に目をやれば
どれほど善いものを
見過ごしていたかが明らかだ

わかる人は味わい
分からない人には伝えよ
言葉などに頼るな
朝日や雨をその目に宿し
欠けないものを知った目で
共に過ごす時間でもって 伝えよ

力強く 柔らかく
子供がよってくるぐらい自然に
財界の大物と渡り合うくらい色濃く

静かに 烈しく
されど静かに

清澄な道のうえ
動物たちのように
善い自然を抱えて生きよ

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です