橋を行きながら、見下ろせば
鴨が三羽、水の上を水平に泳いでいくのがみえた
同時にすっと、気持ちも動いた
これまで、自分でも気づかない間に
コンクリートの建物の中
身体ごと押し殺していた
窮屈な場所に心を押し込めて
気づかずにいたらしい
大人はこんなふうに
子供の気持ちの柔軟さと的確さを
離れていくのだと思った
知った上で、抗いたいとも思った
知れば失くした空は、また人に近くなるだろうか
原始を避ける未来は
まがい物の未来
私たちの中にある原始を
最大揺り起こすような原始との共存こそ
招かれるべき未来
ニンゲンらしい味のあるカオで
ニンゲンらしい芯の強さをもつために
優しく生きるために
人工ではないなにかが、必要なのだ