大地黄金

こんなあかるい穹窿と草を
半日ゆっくり歩くことは
いったいなんといふ恩恵だらう
わたくしはそれをはりつけとでもとりかへる
こひびととひとめみることでさへさうでないか
(宮沢賢治)

昔あるひとが、お坊さんに自慢をしました
「どうだ私にはこれだけ財産がある
うらやましいだろう」
お坊さんは、こう応えました。
「なんだそんなものか、おれの宝はこの大地全部だ」
(仏教の説話)

やさしくて気高い在り方
しめやかな在り方を
自然との感興のなかにみる

雲が空に風に流されていたり
雪が風に舞いつつ、しんしんと降り落ちていく様の

そういうところに、見つけるんだよ
そんな気持ちを大事にすることだ

すべての良い言葉と
気持ちの静寂なものの
ふるさとは同じ場所にあります

眼差しの先に なにがしか自然の質感を見つけられれば
いつでも 本当のことのかけらを
教えてくれるでしょう
言葉はなくとも
それだけ、確かに。

まことの道は、だれが言ったの行ったの
そういう風のものでない
祭祀の有無を是非するならば
卑賤の神のその名にさえもふさわぬと
応えたものはいったいだれだ
いきまき応えたそれは何だ

中略

祀られざる神には神の身土があると
老いて呟くそれは誰だ
(宮沢賢治)

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