小石の語る世界

きれいな花は心を彩り
あとにはその彩りだけを心に残す

いま そんなふうな彩りが
どれほど、大人たちにあるだろうか

ラジオから流れてくる流行り歌は
ほとんどアイシテルしか知らないし
哲学も、科学で分かることしか主張しない
のっぺりとした心が広がっている

これから生きる子供たちに
大切な彩りと

そこに宿る言葉を どうやって伝えればいい

何千何万年前から
人間の本性を
彩ってきたあの風景が

アスファルトとコンクリートの街から
遠く引き離されて
ざわめく木々や明るい花や
我が物顔で堂々と流れていく川
昔々そういうものに込められていた思想は
ふたたび人々によって思い出されるでしょうか

把握されないものは
失われるのでしょうか
現代では、守ることは できないのでしょうか

それはほんとに美しく
あるときには道徳で
真実で
幸せの大切な栄養であっても
それらをすべて、見過ごして
僕らの常識は
その、結果だけ言葉で議論する

だれかがきれた?
だれかがにくんだ?
ただ必要に迫られて、因を言葉で探している

本末を、取りちがえるのは
一重に無知ゆえ
魚は水を知らず
ひとは己を知らぬ
未だ、目の前の自然のもたらすもののなんたるかを知らぬ

一粒の砂が宝物で
僕らと同じ重さになりうるのは

それはたとえば木の一片から
木彫りの人形を 掘り出すように

己のなかに 真実の形をみつける
そんな言葉になりるからです

聞いても分からぬ?
それでいい
それがほんとだ
まだ知らぬ君にとってなら
言葉で分からぬ

代わりに 真っ赤な夕暮れでも見たときに
自分で見つけてみるがいい
それがほんとだ

そういうことの研究を
社会の健康の要点として
つまびらかにせぬうちは

それを出発点にして
人を仕立てていかないうちは

真の平和は
まだ遠い

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