夕方の冷たい空気を吸って
日常のせわしさの合間にふと我に返った
君の声も聴かずに
姿を目にすることもなく
あれから僕はたくさんの時間を過ごしてしまいました
目の前の仕事に没頭する、まるで機械でした
心は金を生まぬ
それゆえ(世間)にあと回しにされ
ぼくらは、また、その心を冷たくし、感性を鈍化させる
美しい大自然を表す式も 優しく美しい心も
同じものの別の面にすぎない
あるべき姿
ふと、我に返る
こずえの隙間に、遠くに湖がみえる
夕暮れ時、青とだいだいに、鈍く染まっている
こんなにも雄弁に
本当について語る
心の正しい置き場所を、まさに指し示す
冷たい心
鈍い心
こうしてときどき思い出したように
僕の自我の水面下から、息を継ぐようにして浮上する、まだ活きていた心
いつか、それぞれのひとが
美しいものに即しても生きていける
そういうことを
絵空事だとしても 願いたい
帰り道 振り返れば 雲は山裾に赤く
僕の気持ちを包みこむようにして優しく撫でてくれた
尊敬すべき誰かが
そこにいるような気がして、
僕は会釈を返した